MSC Nastran 振動・構造解析ソフトウェア

有限要素法(FEM)を用いた MSC Nastranは世界で圧倒的シェアの汎用構造解析ソフトウェアです。1971年のリリースから、航空宇宙、自動車、造船、機械、建築、土木などの様々な分野における構造解析・強度解析・剛性解析・振動解析・非線形解析・最適化解析・疲労解析などの幅広い領域の解析に利用されています。

Nastran rotor

世界初の商用有限要素プログラム

構造解析シミュレーションの業界標準である MSC Nastranは、50年以上のアプリケーション実績を有しています。

MSC Nastranとは 

MSC Nastranは、線形 / 非線形領域における静解析・動解析・熱解析に使用される複合領域にわたる構造解析アプリケーションです。自動構造最適化と受賞歴のある組込型疲労解析を搭載し、ハイパフォーマンスコンピューティングによりこれらすべてを実現します。

  • 1964年 NASA のプロジェクトとして開発開始
  • 1970年 NASTRAN(NAsa STRuctural ANalysis system)完成
  • 1971年 MSC Nastran として販売開始:初の商用有限要素プログラム
  • 以後、解析機能、要素技術、パフォーマンスを向上させつつ、バージョンアップを繰り返しています

エンジニアは構造システムに必要な強度、剛性、および寿命を確保し、構造機能や安全性を損なう可能性のある故障(過剰な応力、共振、座屈、問題のある変形)を回避するために MSC Nastranを使用しています。MSC Nastranは、構造設計における経済性と乗客の快適性を向上させるためにも使用されています。

メーカーはMSC Nastran の複合領域にわたる独自のアプローチを活用して、製品開発プロセスの様々な解析において構造解析を行っています。MSC Nastran は以下の目的に使用できます:

  • 設計プロセスの早い段階で試作品を仮想的に製作することで、従来の物理的な試作品製作に伴うコストを削減できます。
  • 製品のサービス中に発生する可能性のある構造上の問題を確認し、ダウンタイムとコストを削減します。
  • 既存の設計の性能を最適化したり、独自の製品差別化要因を開発したりすることで、業界で競合他社に対する優位性を得ることができます。

MSC Nastranは、高度な数値解析手法に基づいています。最も有名な解析手法は、有限要素法です。非線形の問題は、陰解法非線形解法によって計算できます。最適化解析のために、MSCADSや IPOPTなど、多数の最適化アルゴリズムが用意されています。MSC Nastranの疲労解析機能は、現在マーケットで最も高速でロバストな疲労解析ソリューションである CAEfatigueを使用しています。

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複合領域の構造解析

一般的な構造解析ソリューションは、1 つまたは複数の解析分野に特化しています。包括的なエンジニアリング解析能力を習得するには、複数のソフトウェアソリューションを取得し、新しいツールごとにトレーニングを受ける必要があります。MSC Nastranは、複数の解析機能を備えており、ユーザーは、1 つの構造解析ソリューションで幅広いエンジニアリング問題に対応できます。

  • たった1つのプラットフォームを使用して、線形または非線形問題に対する静解析、動解析(NVHと音響)、熱解析、座屈解析の実行が可能
  • 組込型疲労解析にて、他の疲労寿命予測よりも計算時間を短縮
  • Digimatの平均場均質法によるユーザー定義サービスと進展型損傷解析により、高度な複合材と繊維強化プラスチックの挙動を評価

 多分野の構造解析多分野の構造解析

 

構造アセンブリモデリング

1 つの構造部材が単独で解析されることは滅多にありません。構造システムは多くのコンポーネントで構成されており、全体として解析する必要があります。MSC Nastranは、システムレベルの構造解析のために複数のコンポーネントを結合する多くの方法を備えています。

  • 接着接触によるメッシュ処理の高速化により、従来機能では時間のかかる異なるメッシュ領域の結合を可能にします
  • 特殊なコネクタ要素による溶接やファスナーで構成されたアセンブリの組み立て時間を短縮します
  • 「モジュール」を使用して構造の複数のコンポーネントを結合および管理し、追加の接続要素を使用したり、ID番号付けスキームを心配したりすることなく、完全なアセンブリを構築することができます
  • スーパーエレメントを利用して大型アセンブリの再解析を加速し、機密情報を隠しながら他のメーカーとスーパーエレメントを共有する機能があります
  • 接触解析を行い、複数コンポーネント設計における接触応力と接触部位を決定します
  • 自動接触生成機能を使用してコンタクトボディを自動的に作成し、コンタクトボディ間の接触関係を定義することで、生産性を向上させます

構造アセンブリモデリング

ユーザーの声

「アセンブリモデルに接着接触機能を使用することで、セットアップ時間を1日から1時間に短縮し、部品間の面倒なメッシュ結合を回避できました。」

- Julien Rodess、 Sogeti 研究エンジニア

自動構造最適化

設計の最適化は製品開発の重要な要素ですが、多くの場合、非常に反復的で、多くの手作業を必要とします。MSC Nastranには、許容設計空間で最適な構成を自動的に探す最適化アルゴリズムが含まれています。

  • 材料特性、幾何学的寸法、荷重などの設計変数を変更しながら、応力、質量、疲労などを最適化
  • 形状の最適化により、構造部材の形状や輪郭を強化
  • トポメトリ最適化による最適な複合積層材の各積層の厚さを特定
  • トポグラフィー最適化により、板金部品の最適なビードまたはスタンプパターンを決定
  • トポロジー最適化で過剰および不要なボリュームを除去
  • マルチモデルの最適化により、複合領域で複数モデルを同時に最適化

Automated Structural Optimization

ハイパフォーマンスコンピューティング

近年、解析モデル規模が増大して、計算時間が増大しています。従来の FEMアプリケーションでは、このようなモデルは、計算に数時間または数日かかる場合があります。MSC Nastranは、大きな問題を迅速に解決できる高性能計算機能を備えています。

  • 並列化技術によるマルチコアおよびマルチノードクラスターのメリットを活用:共有メモリ型並列計算および分散メモリ型並列計算
  • 自動ソルバー選択機能を使用して、シミュレーション時間を短縮し、大型モデルのパフォーマンスを向上させます。MSC Nastranは、解析仕様(解析タイプ、要素タイプ、利用可能なメモリなど)に基づいて、最適なソルバーと最も効率的な並列化メソッドを自動的に選択します
  • nVidia GPUカードを活用して、多くのソリッド要素などで構成される大規模なモデルの解析を加速
  • 高度にチューニングされた Lanczos ソルバーまたはAutomated Component Modal Synthesis (自動部分モード合成法)を使用して、モード解析を迅速に実行

High Performance Computing

Nastranを活用した振動解析

車両のアセンブリの事前に望ましくない振動や騒音の発生源を理解することは有益です。MSCは、このニーズに対応するため、周波数応答関数(FRF)ベースの方法論を提供しています。

FRFは、与えられた周波数での単位荷重による、構成要素の周波数応答を表します。次に、構成要素のFRFは、これらの構成要素のアセンブリのFRFを得るために組み合わせることができます。このアプローチの利点は、伝達経路解析(TPA)に役立ちます。TPAを通じ、ユーザーは発生源からターゲットへのエネルギーの流れを辿ることができます。これにより、クリティカルパスと騒音源の識別が可能になります。例えば、左上の画像では騒音源はエンジンであり、下の画像では騒音源はタイヤ荷重によるものです。これにより、車両NVHを理解し向上するためには、フルシステム解析を実行する必要があり、MSC Nastranはスケーラブルなアプリケーション固有のソルバーによってこれを可能にします。

 

 

MSC Nastranの機能 

  • 線形静解析
    • 微小変形
    • 線形接触
    • 慣性リリーフ
  • 線形動解析
    • 実固有値解析
    • 周波数応答解析
    • 過渡応答解析
    • 複素固有値解析
    • ランダム応答解析
    • 応答スペクトル解析
  • 構造-音響連成解析
    • 内部音響解析
    • 外部音響解析(放射音)
    • 吸音材モデリング機能
  • 座屈解析
    • 線形座屈
    • 非線形座屈
  • 伝熱解析
    • 熱伝導
    • 熱伝達
    • 輻射
    • 定常、非定常
  • 陰解法非線形解析
    • 高度な静的・動的非線形解析
    • 大変形
    • 材料非線形
    • 接触
    • 定常・非定常熱解析
    • 伝熱-構造連成解析
  • 疲労寿命解析
    • 時間領域
    • 周波数領域
    • スポット
  • ローターダイナミクス
    • 回転体のジャイロ効果
    • 危険速度
  • 空力弾性解析
    • フラッター
    • ダイバージェンス
  • 最適化解析
    • 寸法最適化
    • 形状最適化
    • 位相最適化
    • マルチモデル最適化
  • スーパーエレメント
  • 高速計算機能(HPC)
    • 直接法・反復法ソルバー
    • 並列計算(SMP, DMP )
    • ACMS(自動部分モード合成法)
    • GPGPU
  • カスタマイズ機能
    • DMAP
    • ユーザーサブルーチン
  • 他のソフトウェアとの連携
    • Adams(機構解析)
    • Actran(音響解析)
    • Digimat(複合材モデリング)
    • 流体解析(CFD)ソフトウェア
    HexagonのCAEソフトウェア一覧はこちら

ユーザーサービス

MSCソフトウェアは、MSC Nastran の使用をサポートする多くのサービスを提供します。利用可能なサービスには以下が含まれます。

  • テクニカル サポート(ユーザー評価 4.5/5)
  • MSCラーニングセンターは、MSC Nastran トレーニングコースの受講資格をユーザーに付与するサブスクリプションです
  • MSC Nastran開発・販売するHexagon ABは、最初の NASTRAN コードの開発会社の 1 つであり、50 年以上にわたって MSC Nastranを継続的に開発してきました

 

「MSCアプリケーション エンジニアは、少なくとも月に 1 回は来社して当社の状況をチェックし、問題発生時には、サポートを提供してくれます。事実、この航空機は、MSCサポートチームによる電話サポート、現地訪問、コンサルティングサービスなしではモデル化が不可能でした」

AeroVironment、Dana Taylor